朝井リョウさんとヒャダインさんが楽しく語り合うつんく♂さん楽曲の魅力
7月15日の「ヒャダインの“ガルポプ”!」に作家の朝井リョウさんが出演され、つんく♂さんの楽曲についての考察を語っておられました。朝井さん、ヒャダインさんのつんく♂さん楽曲に対する造詣の深さもさることながら、お二人のつんく♂さんへのリスペクトが溢れていてグッときました。
ヒャダイン:朝井さんと言えばハロプロ、ハロヲタとしておなじみですから。
朝井リョウ:そうなんですよねーやっぱり。なんかつんく♂さんの表現にビビっときてしまって。という幼少期を過ごしていくと、ヒャダインさんがボンっと降臨されて。たぶんつんく♂さん系の表現が好きな人はヒャダインの表現も好きだと思います。
ヒャダイン:だといいんですけどね。
朝井リョウ:血がなんか。血潮みたいなものが。
ヒャダイン:いやもうつんく♂チルドレンと勝手に言っておりますけれども。
朝井リョウ:いやもうどんどんどんどん言って頂きたいです。
ヒャダイン:つんチルです私。
朝井リョウ:つんチル(笑)略すと急に。もともと大好きでずっと追ってるんですけれども、最近とくにまた刺激的な曲がガンガンガンガン出てきてまた目が離せなくなってます。
ヒャダイン:さて、次におかけする曲なんですが、この曲めちゃくちゃかかってますよ。
朝井リョウ:えー、あっそうなんだ。
ヒャダイン:あまたの人が好きと言う名曲でございます。ではご紹介お願いいたします。
朝井リョウ:それではモーニング娘。'14のナンバーで『What is LOVE?』
~(曲『What is LOVE?』)~
モーニング娘。『What is LOVE?』 (MV) - YouTube
ヒャダイン:モーニング娘。'14で『What is LOVE?』でございました。
朝井リョウ:(拍手)もう最高です!これ初めて聴いたときに、「こんな曲聴いたことない!」って強烈に思ったんですよ。その理由が、私は音楽に特別詳しいわけではないので、どうしても言語化できなかったんですね。で、その理由を今日ヒャダインさんだったらもしかしたら何かしらの形で説明して頂けるんじゃないかなって思ってかけたかったんですけど。
ヒャダイン:なるほど!わかりました、言語化いたしましょうか『What is LOVE?』の魅力について。
朝井リョウ:お願いいたします。
ヒャダイン:まずこれ3連EDM。ようするに「ダカダ ダカダ ダカダ ダカダ」ってなってるんです。普通は「ドンツー ドンツー ドンツー ドンツー」
朝井リョウ:ああ、そこでいきなりもう、ちょっと違うんですね。
ヒャダイン:違うんですね。BPMが速いんですけど3連で、メロディーが、特にサビがつんく♂さんの歌謡曲で培った美しいメロディー。あと張り上げ感。
朝井リョウ:言葉もパンって飛んできますよね。
ヒャダイン:叫び感が出るんですよね。
朝井リョウ:初めて聴いたときにメロディーだけ抜き取ると昔ながらの歌謡曲的な要素があるんだけど、バックの音によって
ヒャダイン:大久保さんのバッキバキなアレンジね。
朝井リョウ:すごい新しい!本当に聴いたことがない音楽に聴こえてしまって、いくら聴いても飽きなくてこの曲はずっと聴いてます。大好きです。
謙遜の文化を突き破ったモーニング娘。に感動
「ASAYAN」で「私は有名になりたい、なるべきだ」とい強い気持ちを持って戦い合う女の子たちを見て感動し、ガールズ・ポップス、アイドルにハマったという経緯を語る朝井リョウさん。
ヒャダイン:そもそもなんですけど朝井さん、ガールズ・ポップス、アイドルにハマったきっかけは何だったんですか?
朝井リョウ:やっぱり「ASAYAN」っていうオーディション番組が私の礎を築いたと思っているんですけれども、当時放送のときは小学校2、3年だったんですよ。そのときに若干すでに日本って謙遜の文化だなってちょっと思ってたんですよ。
感情をバンと表に出して喜んだりとかするよりも、それを内に秘めて影の努力みたいな。そういうところが美学として語られる国だなみたいなのがありますよね。そんな中で「ASAYAN」に出てくる女の子達っていうのは、絶対自分が有名になるぞっていう思いがとっても強くて。
「表に立つべきだ私は!」っていう思いがすごく強い方がバチバチに戦い合ってる姿を見たときに、謙遜の文化の美学と言われているところを突き破られたような気がして、すごい快感を感じてしまったんですよ。
忘れられないのが安倍なつみさんが泣いてるシーンがあるんですけれども、「何で泣いてるんですか?」ってディレクターの方が問いかけるんですね。そしたら「あやっぺ(石黒彩さん)がサウンドプロデューサーの方に褒められてた」って言って号泣してたんですよ。
ヒャダイン:ハハハ!
朝井リョウ:「悔しい!」と。私のパートが一文字でも減ると思うとっていうので泣いていて
ヒャダイン:うわー、いいなあ。
朝井リョウ:もうね、朝井少年はゴリゴリ感動してしまったんですよ。それからずっと追いかけていったら小室哲哉さんにもハマり、つんく♂さんにもハマりっていうのでどんどんガールズ・ポップスって言われるものを大好きになっていってしまって。
ヒャダイン:なるほど。分かりやすい説明をありがとうございました。
朝井リョウ:ハハハハ。良かった。分かりやすかったですか?ありがとうございます。
ヒャダイン:やっぱり戦ってる感じが良いですよね。
朝井リョウ:そうなんですよね。ごまかさない感じがあったんですよね。「私は有名になりたい、なるべきだ」という強い思いに打ちひしがれてしまって大好きでした。
つんく♂さんは「憧れの先輩」
つんく♂さんの声帯摘出に「神様はいないのか」と思ったと朝井リョウさん。つんく♂さんとLINEをしているヒャダインさん、つんく♂さんはびっくりするほど普通で、次を見ていて、憧れの先輩だと朝井さんに告げる。まだ一度もつんく♂さんに会ったことがないと言う朝井さんに「紹介はしませんよ」と大人げない一面も。
ヒャダイン:つんく♂さんと言えば悲しいニュースで声帯摘出がありましたが、ショッキングだったと思うんですけど、どのように思われました?
朝井リョウ:単純に神様はいないのかなって本当に思ったんですよその時は。
ヒャダイン:思いましたね本当に。
朝井リョウ:昔つんく♂さんってメンバーのレコーディングに立ち会うことですごく有名だったと思うんですよね。今でも過去のつんく♂さんのレコーディング立ち会い映像が残っていて、今でもそれを繰り返し見るんですけど、中でも『ガタメキラ』っていう太陽とシスコムーンの2枚目のシングル。
ヒャダイン:来ました!「ダダッダーダダーン!」
朝井リョウ:そこつんく♂さんの声なんですよね。その曲が私大好きで、そのレコーディング映像がたまたま残ってたんですよ。もうつんく♂さんが天才すぎて、つんく♂さんがお手本として一応歌うんですけど、全然通じてないんですよ。
ASAYAN ガタメキラ レコーディング - YouTube
メンバーの方だったり、スタジオで観覧している学生の子たちとか、当時MCをしていたナインティナインさんだとか、もうみんな笑っちゃってるんですよ。でもつんく♂さんのお手本として歌っている歌がどう考えても一番かっこいいんですよ。
ヒャダイン:そうなんですよね。
朝井リョウ:僕忘れられないのが、シャープを上がり過ぎないほうがブルーノートっぽい、ファンクっぽいってお話ししていて、そのようにメンバーの方が、小湊美和さんって方だったんですけど
ヒャダイン:はい。民謡の。
朝井リョウ:歌った瞬間、やっぱり、僕ブルーノート全然その時知らなかったのに、急にファンクっぽくなったのが分かって。本当にこの人どういう耳してるんだろうっていうことをずっと思っていたので。なんでこの人から神様は声を奪ってしまったんだろうなっていうことをずっと思ってます。
ヒャダイン:僕、つんく♂さんプロデューサーですけど、それ以前にやっぱりボーカリストじゃないですか。ボーカリストから声を奪うって、もう言ってみれば地獄の苦しみだと思うんですよね。
朝井リョウ:いちばん、「なんでそこを」っていうところですよね。
ヒャダイン:僕らが指を折られるような
ヒャダイン:でも、僕つんく♂さんとLINEしてるんですけど、
朝井リョウ:うらやましい~
ヒャダイン:普通なんすよ。本当にびっくりするほど普通。
朝井リョウ:そんな悲しみに浸ってるわけではなく?
ヒャダイン:うん。たぶんすごく葛藤はあられたと思うし、すごく悲しんだり苦しんだりされたと思うんですけど、もうそれを乗り越えて、常に昔からそうですけどつんく♂さんって、前を前を見てるじゃないですか。
朝井リョウ:そうですねそうですね。
ヒャダイン:次を次を見てるんでたぶん、いろんな次のことを考えてると思います。
朝井リョウ:じゃあ勝手にこっちが「何で神様はいないのか」とか言ってる場合じゃないっていう状態なわけですか?
ヒャダイン:うん。「大丈夫やから大丈夫やから。曲作るから俺」っていう。ヘヘヘ。
朝井リョウ:すごいなあ~強いですね!
ヒャダイン:うん。だからすごく憧れる先輩ですよねやっぱり。とってもジェントルな方です。
朝井リョウ:ああ、そうなんですね。
ヒャダイン:ジェントルマンです。
朝井リョウ:僕は一度もお会いしたことがなくて、本のオビを今回書いて頂いて、お手紙を書いて頼んだんですね。なので私は直接お会いしてお話したことっていうのはないんですけれども。
なので未だに実在するかどうか疑ってるぐらいなんですよ。なのでLINEやられてるって聞いて急に地に足が着いた感がしましたね。
ヒャダイン:紹介はしませんよ。フフフ。
朝井リョウ:大丈夫です(笑)
ヒャダイン:ご紹介もしませんし名前も出しません。ヘヘヘヘヘヘ。
朝井リョウ:お気になさらず、お気になさらず(笑)
ヒャダイン:へへへへへへへ。じゃあ久しぶりに聴いてみましょう。これ僕もう大好きです本当。
朝井リョウ:わあ、聴きたいです。
ヒャダイン:では曲紹介お願いします。
~(曲 『ガタメキラ』)~
ヒャダイン:いい曲!
朝井リョウ:素晴らしい曲です。何度聴いても最高ですね。
つんく♂さんの歌詞についての文学的考察
つんく♂さんの歌詞に出てくる女の子の周りの情報をいつも考えているという朝井さん。それが講じて公認のイベントに。イベントの入場曲の歌詞まで制作してしまった朝井さんに「人生楽しそうですね」と少しやっかみ気味に言うヒャダインさん。
ヒャダイン:この間つんく♂さんの歌詞について文学的考察っていうイベントをしたんですって?
朝井リョウ:そうなんですよ。すごく好き勝手喋ってきました。すごい楽しかったです。作家の柚木麻子さんと会う度にずっとつんく♂さんの歌詞に出てくる女の子の周りの情報みたいなものを考えてるんですよ。お母さんとはこういう関係だとか、兄弟が何人いるとか、そういうkとをずっと考えているんですよ。
ヒャダイン:楽しい!
朝井リョウ:すごく楽しくてそれをハロプロブック(『HELLO!PROJECT COMPLETE ALBUM』)っていうヒャダインさんも小出さんの対談されてる本の中で私も出させて頂いて、柚木さんと歌詞の考察について対談したんですけれども、それを目にしたお偉い方が「これイベントでやらないか?」ということをお話して頂いて、
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ヒャダイン:ひぇー。
朝井リョウ:実際やらせて頂いたんですよ。
ヒャダイン:それ「公認で口づーけーてー」ですね、それね。
朝井リョウ:それもやりました。品川駅で口づけるんじゃないかこれは、っつって。
ヒャダイン:ウハハハ!
朝井リョウ:公認というのは品川レベルなんじゃないかって話もしたんですよ。すごい楽しくて。いろんな曲を勝手に考察さえて頂きました。
ヒャダイン:へえー、それはたのしいやつですね。
朝井リョウ:すっごい楽しかったです。
ヒャダイン:それでイベントの入場曲の歌詞も制作?ん?
朝井リョウ:そうなんですよ。私はすごくいろんな事を考えすぎる人間ではあるんですけど、踊るのがすごく好きで、踊ってるときはいろんな自意識が吹き飛ぶんですね。柚木麻子さんもそういう方で、2人でイベントをやるときは入場曲をいつも作っていて、それに歌詞をつけるんです、毎回。
ヒャダイン:何の曲につけたんですか?今回。
朝井リョウ:今回はこぶしファクトリーの『念には念』という歌があって、その歌の内容が世の中いろんなことがあるけど念には念をっていう歌なんですよ。その文壇バージョンを作ったら面白いんじゃないかということで。
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ヒャダイン:「文壇バージョン」
朝井リョウ:そうです。文壇の中で「そこ、詰めが甘いぞ」っていうことをいっぱい歌詞にして
ヒャダイン:例えばどんなんですか?
朝井リョウ:例えば、歌の中でウケたところはAメロだったんですけど、「同日発売村上春樹なんて」というところがウケました。
ヒャダイン:ハハハハ!
朝井リョウ:そこはずらしておくべきだろって。
ヒャダイン:まあそういうことですね。絶対勝てねえってやつですよね。
朝井リョウ:そういう文壇あるあるみたいなものをバーッて全部付けて歌ったんですよ。そういうことやってますね。
ヒャダイン:人生楽しそうですね。
朝井リョウ:すいませんほんとに(笑)たまに楽しいこともやってます。
『1億3千万総ダイエット王国』に見るつんく♂さんの奇才ぶり
女の子の日常を描いた歌なのかと思いきや、「生きてる意味が知りたい」と哲学的なところへジャンプするところがすごいと朝井さん。ヒャダインさんは「ダイエット中、ダイエット中」というフレーズが浮かんでそこから曲を作ったのではないかと考察。
ヒャダイン:モーニング娘。'15の話とか、モーニング娘。、太陽とシスコムーン、次がBerryz工房。
朝井リョウ:Berryz工房大好き、素晴らしく個性バラバラなグループで。
朝井リョウ:Berryz工房で『1億3千万総ダイエット王国』
~(曲 『1億3千万総ダイエット王国』)~
Berryz工房『1億3千万総ダイエット王国』Berryz Kobo[130 million Diet ...
ヒャダイン:Berryz工房で『1億3千万総ダイエット王国』でしたが
朝井リョウ:いやー素晴らしい曲ですね。
ヒャダイン:いやーもうね、最近のつんく♂さんの奇才ぶり、天才ぶりが思い切り詰まってる曲ですよね。
朝井リョウ:奇才ぶりがすごい感じますよねこの曲って。中でもすごいループする歌詞、メロディーもすごい好きなんですけど、日常から哲学へジャンプするっていうつんく♂さんの本領がすごい発揮されている曲なんじゃないかなって思っていて、「ダイエットしなきゃ、ダイエットしなきゃ」って思ってる子で、何かを食べたらその分走って消費しないとって。
走ったからちょっと食べてもいいかなっていうことを繰り返しているうちに、ある日突然「生きてる意味が知りたい」って思うんですよね。このプラマイゼロを繰り返している中で、「生きてる意味が知りたい」って、急にそういう歌詞が出てくるところがすごい作家性だなあってちょっとビックリしてしまって。
ヒャダイン:メロディーもとんでもないですからね。
朝井リョウ:とんでもないですよね。一回聴いたら忘れられない。
ヒャダイン:『TIKI BUN』を発売前に聴かせてもらったんですよ僕。TIKI BUNってどういった意味なんですか?と聞いたら、意味は別にないと。けど、他の言葉もいろいろはめようと思ってたらしいんですね。でもやっぱりTIKI BUN、TIKI BUNって一番最初に思いついてそこから作った曲らしいので、TIKI BUNを譲れなかったっていう部分があるので。
朝井リョウ:そうなんですね。へえー。
ヒャダイン:この曲も「ダイエット中、ダイエット中」って言葉。僕の予想です。
朝井リョウ:はい。あー面白いこの話。
ヒャダイン:「ダイエット中」っていう言葉の響きが良かったんじゃないかなと勝手に想像してるんですけどこの曲は。
朝井リョウ:初めにテーマ決めて詞と曲どっちも同じ人が作るときって恋愛の歌だったらこういうメロディー、柔らかい音がいいなとかを考えなく、初めにテーマがあって作るのかなって思っていたんですけど、そうじゃないことも結構あるわけですね。
ヒャダイン:いろいろだと思います。つんく♂さんぐらい多作な方だったらどっちもだと思います。
朝井リョウ:へえ、面白い!これで最終的に1個の作品としてちゃんとできるっていうのがすごいですよね。
ヒャダイン:ね!それがすごいんですよ。チームがすごい。
朝井リョウ:僕、なんかのインタビューで、っていうかこのハロプロブックの音楽ディレクターの方々がつんく♂さんについて座談会をするところがあるんですけど、そこでとんでもないなって思ったのが、つんく♂さんが、音が浮かんでるんだけれども、コードが見つからないから犬の鳴き声を入れてきたという話が書いてあって
ヒャダイン:へえー!すごい
朝井リョウ:そこからディレクターの人たちは思いを汲み取ってしていくという話を聞いて、なんというチームなんだろうとと確かに思ったんですよ。
『つんく♂さんの犬の鳴き声の話』(41:59から) 2015-03-18 南波一海のアイドル三十六房 特別編 「HELLO!PROJECT ...
ヒャダイン:それこそさっきの話じゃないけど、それを見たら普通の芸人さんとかテレビの観客は笑うとは思うんですよね。犬を入れて、笑うポイントだと思って。でも全然それは面白いことでも何でもなくて
ヒャダイン:まあ、あるあるではないです。なかなか突飛だとは思います。なかなか突飛だし、すごく感覚的な方なんだなと思います。けど、それをこういうことなんだろうなというふうに好意的に受け止めるスタッフ作り、チーム作りというのを何年もかけて確立されたらしいので
朝井リョウ:すごい信頼感ですもんね、それでできるっていうのは。面白いなあ音楽の人の話って。